マンガ(の)本

 

「コマ割りでなんかいい本ないですか?」

「マンガの描き方のなんかいい本知ってますか?」

なんて質問を聞かされて「やっぱり石子順造が…」「呉智英の…」とはじめざるを得ない先輩たちに妙に違和感を感じていて、それらしいブックガイドが目につかなかったので*1友人たちと書きました。

これいい本だったよ、これがねえよみたいなのあったらドシドシ教えてください。

 

 

漫画をめくる冒険 泉信行

 

いきなり入手難易度が高い本ですが、これを読んでいるか読んでないかでマンガの読み方が変わる本。

 

shop.comiczin.jp

 

この本の中で分析されている上山徹郎の『電人ファウスト』は『チェンソーマン』の藤本タツキがインタビューで名前を挙げている。藤本タツキが名前を挙げるマンガはどれも必読。以下藤本タツキマンガ。

電人ファウスト プレミアム版

電人ファウスト プレミアム版

  • 作者:上山 徹郎
  • 発売日: 2017/11/24
  • メディア: コミック
 

 

タツキ言及以降高騰。

 

以前はブックオフに死ぬほどあったABARAも枯渇しましたね。 

新装版 ABARA (KCデラックス)

新装版 ABARA (KCデラックス)

  • 作者:弐瓶 勉
  • 発売日: 2015/08/21
  • メディア: コミック
 

 

 「ポップなアバラ、ダークなフリクリ」のダーク分。あと「俺、キャッチボールがしたいんだった」の元ネタ。これより面白いマンガあんまない。

 

フリクリ(上) (星海社文庫)

フリクリ(上) (星海社文庫)

 

 

・マンガ学

旧訳が絶版になり、新訳で手に入りやすくなった。それでもやや高(6400円)ですが、その価値はあります。

 

 ・漫画のスキマ

実用書として代表的なもの。発行は古いが未だに現役。たとえば以下のようなツイート。

 

 

 

漫画のスキマ―マンガのツボがここにある! (Comickersテクニックブック)

漫画のスキマ―マンガのツボがここにある! (Comickersテクニックブック)

  • 作者:菅野 博之
  • 発売日: 2004/11/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 ・10ステップで完成!今すぐマンガが描ける本 

こうの史代のネーム解説読んですぐに描ける(気持ちになる)本。とにかく中古価格が安く実用的。

 

・カッコイイ男キャラクター漫画教室!

『めくる冒険』以降の本。コマ内の視線誘導やいわゆる「異時同図」について具体的に描かれていて侮れない。

 

・即戦力の漫画背景

・グリッドで背景を描く

背景関係ではこの辺り。

即戦力の漫画背景

即戦力の漫画背景

 

 

論考になりますが川勝徳重「畳の目から「私漫画」を考える。」もマンガの背景について考える際に必読級。

漫画雑誌『架空』16号 - セミ書房第2編集部 - BOOTH

 

 

 ・電脳漫画技研

 一昔前の本だけど、技術的な話を中心にこの作家陣で一冊に収まっている奇跡の本(古書価格も安い)。

 

 ・デジタル漫画のテクニック

近々の描き方本のなかではかなり刺激的(らしいです、積読)。

デジタル漫画のテクニック 2nd update

デジタル漫画のテクニック 2nd update

 

 

 ・映像の原則

あまりにも有名な本だけどこれを読んでマンガを描いている人もまた多い。今井哲也がどこかでこれを読んでマンガを描くことについて語っていた(らしい)。

 

映像の原則 改訂版 (キネマ旬報ムック)

映像の原則 改訂版 (キネマ旬報ムック)

  • 作者:富野由悠季
  • 発売日: 2011/08/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

↓などもアニメーター志望からマンガを描く人たちが割と読んでいる印象。

 

増補 アニメーターズサバイバルキット
 

 

ここから先はマンガを描くために確実に役立つであろう批評や論集など。

 

 ・マンガの読み方 別冊宝島EX

必読文献扱いされ続ける(と同時になぜか復刊されない)95年(一説によると94年らしい)刊行の名著。マケプレで買うしかないのが心苦しい。

マンガの読み方 別冊宝島EX
 

 

 ・マンガはなぜ面白いのか

意外と夏目房之介の書籍「マンガ表現論」をゴリゴリやっているものは少ないのですが、そのなかでもこれを。有名な「岡崎京子のトーンの貼り方が特殊なのはどうして?」などもこれ。

 

・漫画原論

 『マンガの読み方』と同じマンガ研究アンセム四方田犬彦の本の中で間違いなくいちばんおもしろい。

 

 ・マンガのシステム

完全に理論書だけどこの流れだと必読。ジル・ドゥルーズロラン・バルトとか出てくるけど全然読める。2011年に出た続編『Bande dessinée et narration(Système de la bande dessinée, 2)』のほうが面白いという話を一部で聞く。

 ・マンガは変わる

 テヅカイズではなくこれ。白状するとこの本を読むまで黒田硫黄の読み方がわかりませんでした。

マンガは変わる―“マンガ語り”から“マンガ論”へ

マンガは変わる―“マンガ語り”から“マンガ論”へ

  • 作者:剛, 伊藤
  • 発売日: 2007/12/01
  • メディア: 単行本
 

 

 ・マンガと映画

極太にしたいくらい必読。このページに載っている本で最初にこれから読みはじめてもいいくらいですが踏まえるべき文脈があまりにも多く、表象とかアニメルカでの三輪さんの論考のほうが実作者向けとしてタメになるかも(そんな言い方していいのかわからんが)。

マンガと映画

マンガと映画

  • 作者:三輪 健太朗
  • 発売日: 2014/01/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 


作家論が続きます。

 

岡崎京子

岡崎京子ほど「雰囲気」で読めてしまうつもりになってる作家もない。そういえば大友克洋論ってないのが不思議。

岡崎京子論 少女マンガ・都市・メディア

岡崎京子論 少女マンガ・都市・メディア

  • 作者:杉本 章吾
  • 発売日: 2012/10/24
  • メディア: 単行本
 

 

  

・梅図かずお論

かなり論の運びに強引なものを感じるものの今後ここまでの厚さの楳図かずお論が書かれる気がしない。楳図かずおのコマのヤバさについてもっともはやく指摘していた批評家、峠あかね再評価本でもある。「楳図かずおのコマはどこかスピルバーグのカット割に似ている」すごい。

 

楳図かずお論: マンガ表現と想像力の恐怖

楳図かずお論: マンガ表現と想像力の恐怖

  • 作者:高橋 明彦
  • 発売日: 2015/06/25
  • メディア: 単行本
 

 

石ノ森章太郎

石ノ森章太郎といえば『佐武と市捕物控』のビッグコミック版(読んだことのない人は『佐武と市捕物控 コマ』などで画像検索してほしい)ですが、その辺りも含めた上で「コマが異常にカッコいい作家石ノ森章太郎」で終わっていない。数少ない『マンガと映画』以降の本。

石ノ森章太郎論

石ノ森章太郎論

 

 

・マンガ視覚文化論 マンガを見るという体験

この二冊が絶版なのがキビしい。

 鈴木雅雄「瞬間は存在しない――マンガ的時間への問い」、細馬宏通吹き出しの順序と帰属について」などなど。

マンガ視覚文化論: 見る、聞く、語る

マンガ視覚文化論: 見る、聞く、語る

  • 発売日: 2017/03/24
  • メディア: 単行本
 

 

 

 ・ユリイカ

バックナンバーで特に記憶に残るのがこうの史代特集の中田健太郎近藤聡乃特集の可児洋介、山本直樹特集の鶴田裕貴、志村貴子特集の伊藤弘了…などなど。最近のマンガ家特集はいずれも読みごたえのある論が絶対ひとつは載っていておそろしい。

 

 

などなど無限に続くと思いますがとりあえずここまで…。

*1:岩下朋世『キャラがリアルになるとき』巻末ブックガイド(キャラがリアルになるとき ―2次元、2・5次元、そのさきのキャラクター論― | 岩下朋世 |本 | 通販 | Amazon)は非常に参考になりましたが、この記事ではマンガ研究者志望向けというより、もっと描き手向けになることを目指しました。