2022マンガベスト10(永井乳歯,中野でいち,竹田純,南田冬,yaca,水田まる,一ノへ,くそごり,川勝きりん,両棲類,シャルトリューズ山田,ねぎしそ,ななめの,ジュンスズキ,小野未練,佐藤タキタロウ,人間が大好き,okadada,ふぢのやまい,井戸畑机,投擲装置,華沢寛治,@maritissue,しゃりあ,ほしがた,41号_西瓜士,げそにんちゃん,藤井夏子,関野葵,八月のペンギン)

みんなの2022年のマンガベストです。去年から倍の人数になりました。みなさんありがとうございます。番号がない人は順不同。

 

投擲装置(鶴田裕貴)

 

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1.『偽物協会』白井もも吉

 

 

読みましょう。

 

2.『アクティング・クラス』ニック・ドルナソ(訳:藤井光)

 

 

藤本タツキとか言ってる場合ではない。

 

3.『デーリィズ』めごちも

 

 

どうして終わってしまったの。

 

4.「純情小路」なまえれんらく(『X-EROS』#97掲載)

今年もっとも爽快なファックユー。

 

5.「77:PRINCESS」水田マル

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「生きづらさについて懊悩した挙げ句に結局伝統的家族の再構成に至る」短編が多すぎてイライラする状況を爆破してくれる痛快。

 

6.『風水ペット』花輪和一

 

 

危ない人より、それを美学化しようとする人の方がずっとヤバい。

 

7.『放課後ひみつクラブ』福島鉄平

 

 

こんなにマンガリテラシーを要求するマンガがあたかもポップなものであるかのように流通する状況に万歳。

 

8.『レーズンラムと申します』ファミリーレストラン

 

 

見た目よりすっと大衆的であること自体が面白い。

 

9.『アンディ』バシウス

 

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おもしろショートコント。

 

10.『追放されたチート付与魔術師は 気ままなセカンドライフ謳歌する。』(画:業務用餅 作:六志麻あさ キャラ原案:」kisui)

 

 

たぶん原作者は心が広いとかではなくてそもそも作家性みたいな神話を信じてないんだと思う。

 

※番外編

『The Complete Little Nemo』Winso McCay(Ed. Alexander Braun)

内容というより出版としての今年の大事件。ずっと高騰していたTaschen版の完全版リトル・ニモが復刊。安価になったぶんオリジナルより版が小さくなってるのが玉に瑕だが、こだわり抜いた印刷クオリティは健在。悪いこと言わんから1万切ってる間に確保しとけ。

 

『楠勝平コレクション』(山岸凉子:編)

やばすぎる。

 

永井乳歯

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・さよならキャンドル/清野とおる

 

 

写真が盛りだくさんで嬉しい

 

・鍋に弾丸を受けながら/青木潤太朗 森山慎

 

 

エピソードの強度が高い

 

・足立区四畳半会議/桜宇宙

 

 

本物の漫画

 

・ツッパリヤンキー地獄録/龍村景一

 

理想的な作風

 

 

・静と弁慶/三木有

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完成度が高い

                               

・言葉は水滴みたいに/黒川明

 

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絵がいい。ラスト1ページにしびれる

 

・77:PRINCESS/水田マル

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カッコよすぎる

 

・何処として何一つ非の打ち所のない僕の日常/オヒル

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とにかく食べるところの多い、奇跡みたいな読切。言及したい部分は多々あるが割愛。今年のジャンプラの読切で一番たくさん読み返した気がする。

     

 

中野でいち

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「隣のお姉さんが好き」藤近小梅

 

 

香山哲のプロジェクト発酵記」香山哲

 

 

「静と弁慶」三木有 

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「君に会いたい」売野機子

 

 

「インスタントサッキュ」関谷あさみ

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=1098441

 

「とかげ Kindle版」時田 

 

とかげ

 

「劇光仮面」山口貴由

 

 



 

 

竹田純

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満田拓也MAJOR 2nd

 

 

天才の息子だけど才能がない男の子が主人公で、チームメイトはほとんど女子。モチベーションや実力、属性がバラバラの良い群像劇。

 

藍本松「怪物事変」

 

 

現代伝奇バトルもの。何でもっとヒットしてないのかよくわからない。(ウルトラジャンプだから…?)

 

 

クロマツテツロウ「ドラフトキング」

 

 

TBSの「戦力外通告」的なスカウトの世界。悲哀がある大人の漫画。

 

コージィ城倉「キャプテン2」

 

 

まさかの続編で最初は怪作かとおもったけど、どんどん面白くなってきた。近代スポーツを実践する墨二が熱い。

 

三田紀房「Dr.Eggs ドクターエッグス」

 

 

山形の医大に入った大学生の日常。マジ普通の人だけの話だけど三田文法が効いてて面白い。

 

・あおいましろう「仏恥義理ステッチ」

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裁縫が得意な女子がヤンキー校で「王様の仕立て屋」をする漫画。主人公の性格がよくっていつのまにかニッコリ。

 

・山川直輝(原作)、朝基まさし(作画)「マイホームヒーロー」

 

 

気弱そうな父親が娘のDVに怒り、行くところまで行くおはなし。ベストファーザー賞

 

サライネス「誰も知らんがな」

 

 

サライネス・イズ・バック。音楽に詳しいおばあちゃんが最高。

 

・灰田高鴻「夢てふものは頼みそめてき Daydream Believers」

 

 

いっけん素朴な絵だけど、めちゃエロティックな絵師たちの群像劇。

 

本宮ひろ志「猛き黄金の国 二宮金次郎

 

 

グランドジャンプで毎回興奮しながら読んでた漫画。本宮ポエジーが爆発。俺はいったい今何を読んでいるのか!?と問いながら最終回まで駆け抜けた。



南田冬

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コメント:ぶたないで



1 ようきなやつら

 

 

岡田索雲先生は確かなメッセージを漫画に込めようとしているが、強いメッセージ性を伝える目的だけに留まることなく読んで楽しい「エンタメ」を作ることに物凄い拘っていて大好きです。

2 もういっぽん!

 

 

今一番いい柔道漫画です。ずっとおもしれ~から、最高!

3 Dr.STONE

 

 

今年完結しましたね。終盤は本誌で読んでましたが、単行本買って通して読んだら駆け足だった印象がだいぶ変わっててよかったです。不思議!!

4 ひらやすみ

 

 

作中で起こる事件がリアルな「日常」に起こり得るチクッとしたささくれなのに、どうしてあんなに引き込まれるんだ!?大好きな漫画です

5 フォビア

 

 

オムニバス形式のホラー漫画です。2巻が今年出たんですよ。2巻収録の「長身」が好きです。

6 スキップとローファー

 

 

2022年12月現在、単行本未収録のお話がめちゃくちゃ良くて「ワノ国」すぎる。今一番ワンピ面白いんだって!っつっても何も内容を言えないあのもどかしさをスキップとローファーでもずっと味わっています。

7 あの頃の増田こうすけ劇場 ギャグマンガ家めざし日和

 

 

実録のエッセイなのにギャグマンガとしてちゃんと面白いネタがあるのすごすぎる。

8 ラーメン赤猫

 

 

面白い!!クリシュナちゃんが好きですね

9 緑の歌

 

 

絵がめちゃくちゃ上手すぎるし、装丁もすごいし、松本隆の帯が面白かったです。

10 ニックとレバー

 

 

内容があまりにもめちゃくちゃ面白くて、装丁もすごくよくて、本当は一位なんですけど2021年12月刊行なんですよ。わかってよ。わかんないかな。なんだ?お前やんのか?おい!









Yaca

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2022読んだ漫画

 

白井もも吉「偽物協会」

 

 

6話のカツレツの話は自分には無い感覚というか、作者の独特な見方や想像力を感じた回だった。

その感覚にある種のグロテスクさをも感じた(お話し自体にグロテスクさは1mmもありません…)。

他人の幸せなんて自分にはわからないけど、それをなるべく繊細に、踏み込みすぎないように扱う登場人物たちの距離感が良かった。

露々々木もげら「K子と病みおじ」シリーズ

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こういう怪奇キャラエロ漫画がシリーズ物として続くことが本当に嬉しかった。

K子も好きですが竿役にもしっかりとキャラクターがあって自分の性癖にジャストフィット。

あくまでエロをメインで扱いつつお話しが進行していく感じ自分には新鮮に感じた。

 

黒咲練導「彼女中2」

 

 

黒咲練導先生の新作が出続けることにまさる幸せなし。

 

藤本タツキチェンソーマン」第二部

 

 

自分の制服を武器に変えて下着姿で戦うシーンが最高。

藤本タツキ先生の作品には無意味無秩序セクシーがない。セクシーな描写があるならセクシーに至る理由がある。

もぐこん「まつりのあと」

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十数年前、実は弟の前歯を折ったのは自分で、事故だし乳歯なので大事には至らなかったけどあの時のなるべく思い出したくない気持ちを思い出した。

Rem, Bikkuri「Devil's Candy」

 

 

単行本を買ったのは21年ですが、青騎士で日本語版が始まったので。

キャラクターデザインが好きすぎて画集買った。

なか憲人「とくにある日々」

 

 

なか憲人先生のTwitter入院レポ漫画とアップされる写真が好きでした。



水田マル

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淡島百景(最新4巻)/志村貴子

 

 

次巻で完結だなんて……

青い花の二人組が番外編で出てきて嬉しかったです

 

・アンデッドアンラック(最新14巻)/戸塚慶文

 

 

キャラクターみんな好きになっちゃいます

 

・かげきしょうじょ!!(最新12巻)/斉木久美子

 

 

主人公のさらさちゃんを見ているとものすごく元気が出ます

 

・ブルーピリオド(最新13巻)/山口つばさ

 

 

どうなっちゃうんだろうと思って12巻と13巻は今までで一番ドキドキしました

 

・魔導騎士アスフェル鈴木の一日/西村たまじ ※ジャンプ+読み切り

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アスフェル鈴木の毎日をもっとずっと見ていたい……



・ぷにるはかわいいスライム

 

 

コメント:ぷにる……すきだ……





一のへ

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【メダリスト】

 

 

・可愛くて熱くて面白い、これ以上に必要なモノなんてない。

・助っ人のお兄さんがポッと出てくるけど顔が良すぎて違和感感じないの凄まじい。

 

女の園の星】

 

 

・ずっと笑ってました。

 

【ミムムとシララ ~ドラゴンのちんちんを見に行こう~】

 

 

・回を追うごとに「ちんちん」に対する熱が真剣(マジ)になっていく主役二人が最高です。

 

へのへのもへじと棒人間とパンツ】

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・キャラデザを棒人間にするのはまだ理解できるんですけど、それが上質なラブコメの一アクセントにすぎないのはクールすぎる。

 

【アンデット・アンラック】

 

 

・ずっとアクセル踏んで面白さが加速していて、すごい

 

【BAT】(ジャンプGIGA2022SUMMER掲載)

 

 

・47ぺージに詰め込めるおもしろさを全部突っ込んでて最高でした。

 

【ハレトキドキアメ】

 

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・料亭のお吸い物みたいな力がある、素朴なのに強い

・胸やけするぐらい優しい恋の話でした

 

【放課後ひみつくらぶ】

 

 

・なんらかの法に引っ掛かるぐらいキャラデザがかわいいしテンポもよく大好きです。

・木曜の夕方ぐらいの時間帯でアニメやってほしいな。土曜の9時とかでもいい

 

【ぼっち・ざ・ろっく!アンソロジーコミック】

 

 

「とあるクラスメイトが見た結束」byコンフレーcu

「はじめてのがっき」by大豆田

・アンソロってそういう角度で殴るのありなの?

 

【生徒会にも穴はある】

 

 

・尾鳥たん君が好きなので



くそごり

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黒川明 言葉は水滴みたいに

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伊藤拓登 鍵がない

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コノシマルカ 空をわたる生き物

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殆ど死んでいる 異世界おじさん

 

 

奈良有 静と弁慶

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松木いっか 日本三国

 

 

あんぎゃまん ラーメン赤猫

 

 

尾田栄一郎 ワンピース

 

 

モリタイシ あそこではたらくムスブさん

 

 

日々曜 スカライティ

 

 



川勝きりん

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花輪和一 呪詛 封印版

 

 

川島のりかず フランケンシュタインの男

 

 

ちびっこ牛乳 受胎告知/夏の想い出

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古川益三 御祭舟 特装版/妖怪

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凡天太郎 それからのフランケンシュタイン博士

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両棲類

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ひらやすみ 真造圭伍

 

 

やっぱり最高の漫画。3巻発売直後、石川さんのこと1週間くらい考えていた。

春先に豪雪地帯の賃貸長屋に引っ越した両棲類の友人の家が、今月の雪で完全に埋まって倒壊しかけたとの報せがあった。引っ越し直後、ひらやすみだって浮かれてたのに…

ヤナギホールで会おう/ ユズキカズ

 

 

ちょっとさわがしくも、それでいて伸びやかな息遣いで描かれた町、人、犬、魚、植物、雨。そのどれもが愛おしい。

 

うみべのストーブ/大白小蟹

 

 

夜更けに見つけてとても愛おしく感じる、自販機の「あったか〜い」の滲んだ光。

収録されたどの短編も、その光と似た優しさを持っていると思う。夏の雪女の話と、透明人間の話が特に好き。

 

テフテ/ウツボカズラ病(同人誌)

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荒々しさと緻密さに溢れたペン画によって紡がれる、めちゃくちゃにカッコいいSF長編。

バトルあり、ドバドバ流血あり、人体欠損ありと中々に大変なことになっているけど、どこか飄々とした語り口でするすると読めてしまう。夏休み直前の小学生に、こっそりとこのまんがを手渡す仕事をしたい。

 

ベースキャンプ1K秩序/不良出版社(同人誌)

どこまでも等身大に描かれた、言葉を選ばずに言えば代わり映えの無い、繰り返しの生活の一幕。もしかしたらこの生活は、自分のこれらはこの後も…と考えてしまう自分とそれでもやっていくぞと顔を上げる自分。そのどちらも受け入れてくれつつ、何も語りはしない部屋。主人公の最後のセリフは、そんな部屋への信頼と諦め、どちらも孕んでるのかも。

 

シャルトリューズ山田

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ガチ恋粘着獣

 

 

 実質バトル漫画です

スキップとローファー

 

 

 みつみちゃんが好きです

ブルームブラザーズ(志村貴子)

 

 

望郷太郎

 

 

 みんなもう読んでると思いますが…

プーねこ

 

 

 いつどんなタイミングで読んでも面白いです

平和の国の島崎へ

 

 

 これから売れまくると思います

たたセン

 

 

 バカエロすぎておすすめです

サタノファニ

 

 

 バカアナルエロで本当におすすめです

猫奥

 

 

 こういう途中で読んでも面白い漫画が好きです

 

おひとり様物語

 

 

 

 

ねぎしそ

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2022漫画ベスト10

1.泰三子『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』22巻

 

 

:警察の制服を着るものにしか分からないこれまでの積み重ね、および第188話でケーキから出てきたペアリングに敬意を表して。

2.いしいひさいち『ROCA 吉川ロカストーリーライブ』

www.ishii-shoten.com

:「おまえはオレのシマ」なので。

3.平方イコルスンスペシャル』4巻

 

 

:一瞬でもさよちゃんが伊賀さんのために命懸けて勉強するって思ってくれただけで十分嬉しいし一生忘れへんと思う、私が。

4.涼川りんあそびあそばせ』15巻

 

 

:永遠の「おあいこ」を求めるシャネルとぺんぺんの「ふたりあそび」の始まりと、愛着のあるあそ研の物語を強烈に読者から突き放す終わりが美しい。

5.瀬戸口みづき『めんつゆひとり飯』5巻

 

 

:「コスパ&タイパ」と「丁寧な暮らし」を体現する女ふたりが脳内に互いを住まわせて会話し、翻弄される様子は、アニー・エルノー『ある女』に通じる一種の百合概念。

6.阿部共実『潮が舞い子が舞い』8巻

 

 

:第88話で更新される水木と百々瀬の関係性が、第81話の百々瀬とバーグマンがつくりだす空気をさらに特別なものに変えていく。

7.村岡ユウ『もういっぽん!』20巻

 

 

:強くなるための環境を見極めることができる氷浦という女に感銘。

8.るぅ1mm『あさみちゃんのなくしもの』

:本当に欲しいものが分からないまま衝動的に罪を犯す女がたまらなく可哀想で愛おしい。

9.模造クリスタル『スターイーター』

 

 

:独自性を追求しつつ、キャラクター、および物語までも「かわいい」と思わせる筆力に脱帽。

10.こゆびた べる『Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-』

 

 

:アニメでは膨らむ頬に秘められていた須理出未来の内なる声が、漫画では残酷にも言葉にされている。漫画と私との間にある共犯関係を自覚しつつも、ツンデレ幼なじみ百合の素晴らしさに屈服せざるを得ない。





ななめの(織戸久貴)

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・冬虫カイコ『みなそこにて』1・2

 

 

 どうして今年各種ランキングで言及されなかったのか。不穏さも、汚さも、純粋さも、どこにも行けなさもある。そういう空気がコマの白さという圧迫感を生み出している。

 

・ばったん『けむたい姉とずるい妹』1・2・3

 

 

 以前からたばこの表現に思うところのある作者だが、間取りやコマ、人間のあいだを越えるものとして煙が意識的に使われており、なんなら2巻ではその属性を持つものがさらに現れており、ぞっとする。

 

・たばよう「しいく委員のおしごと」

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 今年もっとも人間の本質を描いた漫画だと思う。

 

・天野美樹『ことり文書』1・2

 

 

 ハルタはこれまでも理想とする距離や関係を描いてきたが、ここにおいてまだ汲み尽くせていないことがわかる。

 

・高江洲弥『リボンと棘』

 

 

 原液を蒸留でもしたんじゃないか、という作品群。溺れる。

 

平方イコルスンスペシャル』3・4

 

 

 こんなまんがになるってだれが予想できたんだろう。

 

とよ田みのる『これ描いて死ね!』1・2

 

 

 4pまんがから学びはじめるというのが今っぽさを担保している。

 

藤近小梅『隣のお姉さんが好き』1・2

 

 

 見つめるという行為は他者を特権化させる枠組みだが、なおそれでも見つづけることはその枠の在り方じたいを薄れさせることでもある。

 

市川春子「三枝先生」

 

 

 とくに言うことがない。

 

・こかむも『クロシオカレント』1

 

 

 コミティアの味をどう普遍化するのかについて、だれもわかっていないが、ただそれに近づく方法のひとつが示されているという感じがする。

 

 

ジュンスズキ

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今年発売された5巻以内の、忖度抜きで本当にめちゃくちゃ面白い漫画、という観点で選びました。

ランキングとか賞レースとか好みは人それぞれとか、そんなものは全てどうでもよくて、この10作品が2022年で最も面白い漫画なので何卒よろしくお願いいたします。

 

1位『女の園の星』和山やま

 

 

間違いなく今年一番面白かった漫画です。

 

2位『ふたりスイッチ』平本アキラ

 

 

ゴーヤがヤバすぎて爆笑するマンガ初めて読んだ。ゴーヤ最高。

 

3位『コーポ・ア・コーポ』岩浪れんじ

 

 

人間を描くにあたって解像度をここまで魅力的に高められる人は稀有。戸籍が汚れぎみの人間には特によく刺さります。

 

4位『ヘルドッグス 地獄の犬たち』イイヅカケイタ、原作:深町秋生

 

 

1巻の1話から5巻の最終話まで、緊張が一切途切れることなく完璧に面白い。出てくる警察とヤクザがみんな超怖くてカッコいい。人間の関係性を好物にしている人たちにおすすめしたいです。最後のページが痺れるくらい良い。

 

5位『アタックシンドローム類』

𠮷沢潤一

 

 

自分が漫画に求めるものがすべて詰め込まれています。度肝を抜かれる。

 

6位『正反対な君と僕』阿賀沢紅茶

 

 

ジャンプの歴史を変える作品になると思います。心情描写の細やかさという点において時代が明らかに変遷している、その転換点を代表する超傑作。

 

7位『これ描いて死ね』とよ田みのる

 

 

全漫画家及び漫画家志望者及び漫画を愛する人間たち必読の書。

 

8位『あと一歩、 そばに来て』武田登竜門

 

 

漫画ってこう描くのか…という一つの到達点。圧倒的な才能を目にすると涙が出てしまうアレが発生しました。

 

9位『ゴクシンカ』ピエール手塚

 

 

『ピエール手塚くんのグルメ紀行』→『ヘレディタリー/極道』→『ゴクシンカ』に至る定食屋のババアの進化を是非楽しんでほしい。会話劇の名手として、和山やまの次に来るのはピエール手塚です。

 

10位『地元最高!』usagi

 

 

こはるさんが出てきてから作品の空気が変わってそれからずっと最高です。ここぞという時に力を入れたコマを出すメリハリが超上手い。

 

小野未練

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夏・ユートピアノ(ほそやゆきの)

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・漫画にするにはささやかで遠回しな心の動きを誇張するでなくしっかりと届けた作品だったと思う。全6話で読みやすい。ライブの後の夜空のシーンが好き

ルリドラゴン(眞藤雅興)

 

 

・よみがえれ

女の園の星(和山やま)

 

 

・面白すぎ

望目(監獄銘菓)

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・自分が前に描いた作品と同じ演出で「正解」を見せられた気がした。こう描けばよかったのか〜

77Princess(水田マル)

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・吹っ切れてからのテンポがドカドカ上がってく感じがいい

絵に描いた餅を描いた餅(林快彦)

 

Twitterにいる人たちが全部語ってるから私が語ること何もない。良かった。

 

へのへのもへじと棒人間とパンツ(林快彦)

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・同上。時代はエアインテーク

オナ禁エスパー(竜丸)

 

 

・同上。時代はフリクリ

With you,to atrantis(相互確証破壊(同人誌))

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大戦後の飛行機乗りが人魚たちと会う話。鉛筆の優しいタッチが水中のとろけるような光の加減を描けていて、ラストの余韻が大きくなって良かった

贋作(プラ製バター(同人誌))

https://amzn.asia/d/0SUnQxD

詐欺師の画商とそいつに贋作を描かされる画家志望の話。二人がそれぞれ一発かましてからのグライダー飛行みたいな終わり方が綺麗だった

 

佐藤タキタロウ

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1.『Paul』 市原大志朗

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ジャンプラ読み切り、2022年9月期ジャンプ新世界漫画賞 佳作

2.『包丁を買う』折田洋次郎

 

 

スペリオール第2回次世代新人マンガ大賞

3.『フールナイト』ヤスダ佳澄

 

 

4.『ひざ』 下原誠矢

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ジャンプラ読み切り、2022年9月期ジャンプ新世界漫画賞 佳作

5.『伯爵トンネル』和邇

ジャンプGIGA2022SUMMER 読み切り

 

 

6.『まぶしく輝く輝かない勇気』赤井ゆうき

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ジャンプラ読み切り

7.『もどるもどるすすむ』日登利和

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ジャンプラ読み切り、2022年9月期ジャンプ新世界漫画賞 佳作

8.『劇光仮面』山口貴由

 

 

9.『さよなら絵梨』藤本タツキ

 

 

ジャンプラ読み切り

10.なし

 

あんまり新作漫画に感動したりする年じゃなかった………

とか思いながらスペリオールを立ち読みしてたら後ろに乗ってた読み切りが凄い良くてひょっこり2022ベストにいれちゃいました 『包丁を買う』凄く良かった……




人間が大好き

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  1. ニチアサ以外はやってます!(1) 猫にゃん

     

     

特撮研究会の青春を描く4コマ。主要キャラは戦隊・ライダー・ウルトラマンゴジラなどを元ネタにしており随所に仕込まれたオマージュが楽しい。そしてオマージュ=過去の作品の力を借りることが物語上でも重要な意味を持つ。4コマでありながら絵コンテの枠を4コマ漫画に見立てたり、枠のない一枚の絵で連続的な映像を表現したりと斬新な表現を追及している。

 

  1. 偽物協会(2) 白井もも吉

     

     

不安になると毛布になってしまう人間の偽物・包見綿子と、「普通」からはみ出た「偽物」たちが集う「偽物協会」の会長が織りなす1話完結の不思議なエピソード。温かみのあるイラストで各話ごとに意外なモチーフが提示され、それが何のメタファーでどのような寓話を描いているのか次第にわかってくる謎解きの快感がある。予想もしない想像力の広がりや意外なものを繋ぐ感性に驚かされる。2巻は1巻以上に斬新で撮れ高のある画面が多い。

 

  1. ルリドラゴン(1)  眞藤雅興

     

     

ある日ドラゴンの血が目覚めてツノが生えた女子高生・ルリの日常を描く。ドラゴンという突飛な存在でもクラスメイトは自然に受け入れる。それを画面の中でも時にモブとして描いてしまう回やドラゴンであることに一切触れずプリクラを撮りにいく回など示している。説明ではなく空気によって説得力ある描写をしているのがよい。ジャンプ連載作だけあって急に火を吐くシーン描写など動きの画面も見栄えしている。

 

  1. とくにある日々(1) なか憲人

     

     

「犬のかがやき」名義でもお馴染みの著者による、女子高生2人の掛け合いを軸にした学園ギャグ漫画。勢いやキレのあるコントのような会話だが程々な上品さがあり心地よい。ギャグだけでなく、日常の何気ない物事から面白さを見つける若く瑞々しい感性に心洗われる。

 

  1. ネコマタ解釈の成立 鈴木りつ(青騎士6A読切)

     

     

猫から人になった存在であるネコマタを保護するところから始まり、最初はよくある人外同居モノかと思いきや、なんと人権や戸籍を求め法廷や行政にまでレンジを広げてしまう。ファンタジーを現実的に突き詰めたり予想外のスケールにするのが面白いだけでなく、アーバン・ファンタジーにありがちな自助・共助による生活や社会からの不可視化に対するアンチテーゼでもある。

類似のテーマを扱った『妖こそ怪異戸籍課へ』もおススメです

 

 

okadada

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 呪詛 封印版 - 花輪和一

 

 

今年は花輪和一の旧作のすごさに気づいた年だった

 

劇光仮面 山口貴由

 

 

もうどこまででも行ってほしい

 

かけ足が波に乗りたるかもしれぬ 菅野カラン

comic-days.com

すごい

 

静と弁慶 – 三木有

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サンデーの抒情派っぽい

 

絵が上手くならない問題 - 夜なのに朝日

kuragebunch.com

三人組の駄弁りシリーズはずっと読んでたい

 

偽物協会

 

 

無意識で向う側にいる人

 

千年狐 ~干宝「捜神記」より~

 

 

前は合間に突然出てきてたホラー表現が今年から前面に出てきてうれしい

 

コワい話は≠くだけで。 影山五月

 

 

期待枠

 

となりの百怪見聞録 – 綿貫芳子

tonarinoyj.jp

期待枠2

 

アンナコムネナ 佐藤二葉

 

 

かわいい

 

岡田索雲 ようきなやつら

 

 

高い志を伝えるための道具としてのユーモアが、当の志を超えてしまっている

 

ダンピアのおいしい冒険 トマトスープ

 

 

ジャードゥーガルもいいけど4巻面白かったよ

 

とくにある日々 - なか憲人

 

 

今年はこれくらいの感じがよかったかもしれない

 

関係ないけど読んだ旧作の中で良かったの

鉄風 - 太田モアレ

大奥 - よしながふみ

マーチャンダイス - 大石まさる

レベティコ - デヴィッドブリュドム

イビクス - パスカル・ラバテ

sunny sunny ann - 山本美希

かしこくて勇気あるこども





ふぢのやまい

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ミワさんなりすます

 

 

来陽と青梅

 

 

偽物協会

 

 

ういきき

 

 

77:PRINCESS

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ヤナギホールで会おう

 

 

肉欲の美学

https://book.dmm.co.jp/product/4162026/b472abnen01335/

 

昭和天皇物語 

 

 

風水ペット

 

追放されたチート付与魔術師は 気ままなセカンドライフ謳歌する。

 

 

 

 

井戸畑机

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* 原作/青木潤太朗,作画/森山慎「鍋に弾丸を受けながら」

 

 

気軽に食べられるものじゃないが、本当においしそうだ!

* 日之下あかね「河畔の町のセリーヌ

 

 

優しい話。ずっと読んでいたい漫画。

* 川井十三「5080」

 

 

5080問題をコミカルに描いている。

* ガンプ「断腸亭にちじょう」

 

 

すごい漫画だ。

* 原作/松尾諭,漫画/勝田文「拾われた男」

 

 

俳優である松尾諭の自伝風エッセイをコミカライズした作品。勝田文先生はオリジナルももちろん面白いのに、コミカライズもめちゃくちゃうまい…。

* 筒井哲也「ニーティング・ライフ」

 

 

家から出ないことのリアリティがすごくておもしろい。

* 森下真「すだちの魔王城」

 

 

こういうテンションの漫画も好きなことに気づいた。あと絵がかわいい。

* 吉沢潤一「アタックシンドローム類」

 

 

新刊が楽しみな漫画が増えて嬉しい。ぜひ読んで欲しい。

* のむらしんぼ「コロコロ創刊伝説」

 

 

コロコロを創った人々のアツいエピソードと作者の身の上話に泣いてしまう。

* おのえりこ「こっちむいて!みい子」

 

 

小学生の時に読んでいたが、今改めて読んでもめちゃくちゃに面白い。みい子の前向きな一生懸命さが読んでいて切なくなる。








 

華沢寛治

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インク色の欲を吐く

 

 

泥濘の食卓

 

 

付き合ってあげてもいいかな

 

 

神様お願い

 

 

くるくるくるまミムラパン

 

 

気になる聖凪の頭の中は

bigcomicbros.net

OLと人魚

 

 

ミューズの真髄

 

 

世襲制トライアングル

 

 

ガチ恋粘着獣

 

 

 

 

 

@maritissue

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2022年漫画ベスト

※ほぼ2022年以降に単行本発売縛り

1位

リトルホーン〜異世界勇者と村娘〜(額縁あいこ・講談社

 

 

絶対に売れてくれ!

2位

ツイステッド・シスターズ (山下和美講談社

 

 

 

上は75歳、下は新生児!? 昭和から令和までをつなぐ、怒涛のかしまし5姉妹が織りなすドタバタコメディ。トンデモフィクションに垣間見えるリアリズムに爆笑する傑作。

3位

ユトポリス(影革・ジーオーティー

 

 

 

近未来の管理都市から脱出を図る少年少女のディストピアストーリーと言えば月並みだが、描き込まれたディテールと、軽やかに発されるアメリカ映画さながらの台詞が小気味良い。

4位

愛したぶんだけ愛してほしいっ!(まにお・一迅社

コミック百合姫 2022年11月号〜連載開始

 

 

『きたない君がいちばんかわいい』、通称「きたかわ」の作者・まにおの新連載。ポップにかわいく闇深く❤️

 

5位

T子の一発旅行(穀子・祥伝社

 

 

留学生がTinderで出会いまくりのオフパコレポフィクション。主題からブレない程度に挟まるギャグテンションが楽しい。次ページに何が描かれるのか、展開の読めなさが他のレポ系漫画とは一線を画す。

6位

異世界人生劇場〜竜と魔王とエビフライ〜(ka92・小学館

 

 

かわいすぎるハイカロリーショートショート。一気読みすると胸焼け必至、毎日2話ずつくらいがちょうど良い。

7位

残り一日で破滅フラグ全部へし折ります ざまぁRTA記録24Hr.(天城望福留しゅん・KADOKAWA

 

 

最近の悪役令嬢モノの中でも爆売れ作品。残り一日、たった一日。作者や作品をも苦しめかねないリスキーな制約に痺れる。現時点の二巻までは制約を感じさせないスピード展開。果たして何巻まで繋げられるのか、見ものである。

8位

これ描いて死ね (とよ田みのる小学館

 

 

目新しさはなくとも、純粋に応援したくなるような、それぞれの爽やかなキャラ立ちが好印象。

9位

ホワイトアンダーグラウンド花見沢Q太郎ぶんか社

https://www.amazon.co.jp/dp/486704489X

エロへのエキサイトと、お小水へのこだわりが光る。明るいロリがいちばん楽しい。

10位

僕の心がチューと鳴く(胃下舌ミィ・KADOKAWA

 

 

はるか昔、心のどこかにしまい込んだはずの何かが込み上げる。そんなものが自分にあったかどうかすら定かではないが……。

ネズミの時と人間の時、当事者視点と第三者視点の書き分けのバランスがうまい。終盤、父を追いかける娘の涙にグッときた。




怖いリプライ ~ sᴄᴀʀʏ ʀᴇᴘʟʏ ~(しゃりあ)

https://twitter.com/Sialia_



マンガ10


●君は恋する殺人鬼 / あきやまえんま

 

 

地雷女の話と思いきや、殺人の要素を上手く使いながら、悪い方へと転がっていく人間関係を活かして、あらゆる上っ面の向こう側にある本音のコミュニケーションをずっとやっている。エゴゆえに傷つけあってしまうこと、それを承認し合うこと。他者に真に求めているのは、セックスでも承認でも寂しさを埋め合うことでもなく、愛し愛されることなのに、解決しきれない物語は寛解しないまま2人を置き去りにして終わりを迎える。

●終の退魔師 エンダーガイスター /四方山貴史

 

 

『VS Evil』から続く第2章なんだけど、こっちを読み進めつつ後から1章を読んでも問題無い。ゴブリンやら魔女やらの設定が渋いな〜、現代なろう系の感じかな〜とか思ってると、深掘り横堀りがされていって、映画ネタ盛り盛りな王道SFファンタジーモノなことが分かるので読んでいて気持ちがいい。エンタメサービスにためらいがないのも良い。POVになる戦闘描写など、表現に挑戦が見えるとやっぱり嬉しい。

●ヴァルハラ・オティンティン館 /作者:原作/求嵐 キャラクター原案/萌木雄太 漫画/夕仁

 

 


こんな話なのに原作付きである。コンプラ無視のエロコメは頭を無にして読めるから本当に良い。この作品における転生モノ"チート能力"は「すごいチンポ」。そのすごいチンポで次々と女を籠絡していってもバカすぎて不快になる余地がない。チンポビンタなど、絵力も普通にある。

●時間停止勇者―余命3日の設定じゃ世界を救うには短すぎる― / 光永康則

 

 


明確に細かい目標設定があるので章分けが分かりやすい。その上で1話自体のボリュームが結構あるし、ちゃんとその中で展開があるので、読後の満足感が結構ある。毎回必ず主人公がヒロインたちの女性器を確認するコマが数回描かれるのはこのマンガだけ!

●さよならエデン / 愛南ぜろ

 

性愛とはいざ知らず、恋愛感情の伴わないセックスなんて所詮セックスでしかない(肉体交渉以上でもそれ以下でもない)し、プラトニックなコミュニケーションが肝要だと分かっていても、やっぱり好きな女がやたらめったら発情してヤリまくっていたら気が狂う。最終的に開き直るにせよ、清純を押し付ける側に振れるにせよ、どちらも性の加害性と中毒性について激しく自己追求しながら内省せんといかんよ。

●さとるくんの横縞のスカート/井ノ巳吉

tonarinoyj.jp



10p読切マンガ。絵が綺麗だしコマ割りも見やすい。明らかに『青野くんに触りたいから死にたい』を参考にしすぎているが、『青野くん』にはない「軽さ」が軽快なテンポとポエジーに相まって良い。このくらい真剣に軽やかに生きるべきなタイミングは確実にある。他作品では『夏休みのともだち』は結構面白かった。今後が楽しみ。


●松山くんと小林さんの3メートル / 与左衛門

yanmaga.jp


幻覚患者の見る夢。アウトサイダーアート。話も展開があるわけじゃないんだけど、異形の描き方が凄すぎる。
ボーダーを超える、他者について勇気と優しさをもって踏み込むということは恋そのものだ。
このまま小林さんについて何も明らかになることもなく、ただ不気味で意味不明のまま、恋をして欲しい。
他者とはそういうものなので。

●雑用付与術師が自分の最強に気付くまで

 

 


漫画:アラカワシン 原作:戸倉儚 キャラクター原案:白井鋭利

なろう系の良いやつをディグるときの基準として、モンスターの絵がガチガチに描かれている、設定が緻密でネーミングセンスがある、テンプレ展開に対して登場人物の感情の裏付けや構造上の理由がある、あたりを目安にしてるんだけど、これはそれら全てに該当していた。ここからどうなるのかなーと原作を読みに行ったら、マジでブッ倒れるくらい面白かった。なろう系読める人は読め!


●泥濘の食卓 / 伊奈子 

 

 


「人には優しくしなさい」といいう言葉の無謬性、無辜性を信じていくことで起きる悲劇は、善なるゆえに絡み付いて離れない。閉鎖的な地方モノとして見ると平凡だけど、それは絶対事故るの目に見えてるだろという計画を、善いことだからと目を瞑り、欺瞞の上で直進する愚かな主人公が良い。こういうのは最悪の終わりを迎えるか、茶を濁してホンマにハッピーエンドか?と言いたくなるような終わり方になるのが定石な気がするけど、うまいこと「優しさ」について掘り下げて納得のできる結末を迎えさせて欲しいなと思う。単行本で買おう。

●ゆめかの日記~ちょっと怖い白昼夢~ / 坂入カツユキ

comic-walker.com


ホラー枠。怪談とはセオリーに対してどれだけ捻りを加えて「この話は初めて聴いたな」と思わせるかどうかだと思う。そういう観点では『僕が死ぬだけの百物語』も面白いし絵力あるので迷ったのだけど、『ゆめかの日記』には前者にはないポエジーがある。多用される横ゴマでの「私は」に泣く。クリーチャーのデザインも、『不安の種』以降のホラー絵からちゃんと脱却していて偉い。3話がお気に入り。

ほしがた

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とくにある日々

 

 


光が死んだ夏

 

 

大丈夫倶楽部

 

 

生徒会にも穴はある!

 

 

きみだけがほんとう

 

 

月出づる街の人々

 

 

アタックシンドローム

 

 

住みにごり

 

 

劇光仮面

 

 

断腸亭にちじょう

 

 

 

 

西瓜士

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めちゃくちゃ順当なベストになっちゃった

 

  1. スーパーベイビー 丸顔めめ

     

     

こてこてのギャル×眼鏡くん、最近では「正反対な君と僕」と似た構成ながらリアリティの線引きをかなり曖昧にしつつ、ときおりドギツいナマの台詞が飛び込む

漫画の力を信じようというガッツを感じる 主人公カップルを愛せた作品は初めて 大好き ベスト

 

  1. ラーメン赤猫 アンギャマン

     

     

猫の神秘性に甘えず人対人の漫画にしたところが偉い 人、職業に対する作者の視座にあまり不安がない 単なるスカッとに絶対逃げない構成もよい

作者が過去書いていたカッパと仙人の漫画はこの漫画と逆にアクション10割で面白い ジャンプラ最近お仕事漫画ちょっと推してる?

 

  1. 限界煩悩活劇オサム ゲタバ子

     

     

腐女子あるあるをイジるのはいかがなものか、集英社は昔同人に対して~という文脈で「打ち切られ漫画家、同人イベントへ行く。」(同ジャンプラ)と共に小火が起きたりもしたが、あるあるものはとにかくキャラが可愛ければ面白い ここでしか得られないデフォルメが堪能できる

タメ⇒大ゴマで飛距離のある台詞という構成を崩さないので安心して読めるし、除霊方法は対話という案外イマイマなテーマでやってる

 

  1. ぷにるはかわいいスライム まえだくん

     

     

コロコロ「らしさ」、SNSでの飛び方、感情のコンテクストさ、食い合わせが悪そうなのだが全てめちゃめちゃに高水準

でもおれはカビぷにる人気には"待った"と。"NO"と。そう言いたいね(ぷにるの主体的にカワイくあろうという朗らかさが奪われているからね)。

 

  1. 断腸亭にちじょう ガンプ

     

     

作者が前作をとつぜん休載、アカウントを消し一切の情報がなくなってしばらくの後、ガンプ名義でのこの作品によって読者ははじめて作者がどのような健康状態にあったのか知る…というとんでもない作品

読み進めていくうち「じゃあつまり作者は…」という不安がどんどん募っていく

 

  1. とくにある日々 なか憲人

     

     

2巻に入って、学校や散歩道での脳みその隅っこをつつくような「気づき」が主人公二人の関係をより深める役割を果たし始めており、ずっと嬉しい

好きな回 摩擦文字、ピザって10回言って⇒お世話になりました…、スペアメガネ、おかきもある、鼻

 

  1. ようきなやつら 岡田索雲

     

     

去年も東京鎌鼬をベストに上げたので二年連続

とにかく強い怒りを感じるがコマの時間の作り方が上手いのでコレクトネスに対するまなざしが読み味を阻害していない

 

  1. かないさん 伊藤九

    comic-days.com

文学が上手い 22p 言うことなし 18歳←ふざけるな 嫉妬

 

  1. オナ禁エスパー 竜丸

     

     

馬鹿馬鹿しいお話はその馬鹿馬鹿しさによって面白さのごまかしを一定量得ている場合があるのだが、コマ演出台詞全部高水準ですごい 馬鹿馬鹿しさに逃げてない

 

  1. 静と弁慶 三木有

    shonenjumpplus.com

ジャンプらしさ・らしくなさはもういちいち新人が何か言うことではないと思うのだが、ジャンプで7年ほど前改造人間ロギイをやってた作者がこんなにジャンプ「らしくない」漫画をいまジャンププラスで出したことに感動する

擬音のストイックな少なさと余白づかいによって逆に体育館を満たすように音があるのだと感じられるのがすごい

 

げそにんちゃん

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綺譚花物語

 

綺譚花物語

綺譚花物語

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ワイン知らず、マンガ知らず

 

 

きたない君がいちばんかわいい

 

 

追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフ謳歌する。 ~俺は武器だけじゃなく、あらゆる綺ものに『強化ポイント』を付与できるし、俺の意思でいつでも効果を解除できるけど、残った人たち大丈夫?~

 

 

雑用付与術師が自分の最強に気付くまで

 

 

これ描いて死ね

 

 

生徒会にも穴はある!

 

 

娘じゃなくて私が好きなの!?

 

 

偽物協会

 

 

正反対な君と僕

 

 


藤井夏子

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1位「アクティング・クラス」

 

 

2位「マオニ」

to-ti.in

3位「彼岸花

to-ti.in

4位「ROCA」

www.ishii-shoten.com


関野葵

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東京ヒゴロ1、2巻

 

 

スカライティ1巻

 

 

ポラリスは消えない1、2

 

 

 

女の園の星3巻

 

 

われわれは地球人だ!1巻

 

 

八月のペンギン

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①熊倉献『ブランクスペース』

 

 


本作を朝の4時に読み終えた私は、興奮のあまり徹夜で職場に向かう羽目になったことをよく覚えています。
私は「クリエイター」という言葉の使用を自らに極力禁じています。それはこのような作家との出会いを期待してのことです。熊倉献先生は正真正銘の創造主(クリエイター)です。
マジックリアリズムに支えられた世界水準のメタフィクションマンガにして、澄みきった青春文学。
「想像=創造」力に関する物語を決して実験作に終わらせていませんし、群像劇でもあるのに芯をまったく外していません。そこらの凡百な「クリエイター」とは明らかにものが違う。天才です。すごい。すごすぎます。こんな作品を描いて作者は大丈夫なんでしょうか。この先も創作を続けていけるのでしょうか。それが唯一の気がかりです。

②大白小蟹『うみべのストーブ 大白小蟹短編集』

 

 


七本の短篇マンガと、各話に添えられた短歌からなる作品集。日常のなかの、死や喪失が潜在しているがゆえにこそかけがえのない時間を、詩情豊かに描き出します。フェミニズム的な切り口の作品が多数を占めますが、性別を問わず温もりを伝えることに主眼があります。
作者は「温度差」の感覚を大切にしています。寒風の下のストーブであり、暑くて冷たい雪女の夏であり、夕陽を集めて日陰のオフィスを照らす反射鏡であり、雪の冷たさとシャワーやお風呂な人肌の温もりの対照です。この誰もが知る皮膚感覚が、理屈でなく生理として読者の共感を呼び起こす肝のように思われます。
冷たくて痛くて切なくて、それでいて痒いような甘いような不思議な感覚が研ぎ澄まされた短篇ばかり。いずれ劣らぬ傑作揃いです。

③厳男子『ムラサキ』

 

 


個体にしても自我にしても連続体を分けることで存在する人間という存在、それらを連続したものへと還す試みとしてのダンス(ヨガや格闘技や宗教と隣接するものとしての舞踊)を、圧倒的な画力と研ぎ澄まされた言葉の力で高解像度に描き切った作者に平伏せずにはいられません。
言うまでもなく、作者は連続体を分けることで成立するマンガにも挑んでいます。全人物が光の柱の前でスパークする終盤に向けて、マンガを構成する図と地の二分法(コマの枠線やキャラの主線の内と外、あるいはキャラと背景)を解体し、読者の共振を呼び覚まそうとしています。その試みの成否は、ほかならぬ一人一人の読者に委ねられています。
正直にいえば、何が描きたいのか誰を描きたいのか、やや未整理な印象は拭えません。しかし、贔屓目にはその混沌もまた本作の魅力とうつります。コンテンポラリーダンスというマイナーなテーマに挑み、人物の身体を流麗に描き出し、日本マンガ史に金字塔を築いた傑作(という評価を得てほしい!)。作者の次回作が本当に待ち遠しいです。

④松田舞『ひかる イン・ザ・ライト!』

 

 


歌が大好きな中3女子がアイドルを目指してオーディションに挑む話。
作者は成長著しいです。前作『錦糸町ナイトサバイブ』よりも物語にドライブ感があります。そして、嫌みのない前向きな主人公がきらきらと輝いています。
衒いのない真っ直ぐな作品です。表現者の宿業を描ききり、読者の感情を激しく揺さぶります。感涙を流しすぎて脱水症にならぬよう水分補給をくれぐれもお忘れなきよう。

⑤高妍『緑の歌 収集群風』

 

 


器も中身もおそろしく古風。これを愛でるのは、さすがに躊躇われます。でも悔しいかな、いいんです。
賢くて器用な作者が描いた「私マンガ」の傑作にしてサブカル糞野郎の「踏み絵」です。恥ずかしげもなく告白すれば、細野晴臣村上春樹をはじめ作中に登場した固有名(本、レコードやCD等)にひとかたならぬ思い入れがある私は、否応なく心を動かされました。作者の日本文化への愛情自体にも嘘偽りはなさそうです。でも「親父転がし」のビジネス臭がきつすぎる!
若くて可愛らしい台湾人女性から「日本の昭和(と平成)のサブカルが大好きです」と言われて鼻の下をのばしている団塊の世代のオヤジたちの情けない表情が浮かんできます。自分も気を抜くと同じ顔をしてしまいそうで、それがとにかく恐ろしい!

⑥冬虫カイコ『みなそこにて』

 

 


「水たまり」のようだと語られる郷に住まう美しい少女の姿をした人魚と人間の少女たちとの交わりを描く伝奇ホラー。家父長制が充満する閉塞した田舎町で生きる女性の息苦しさを寓話化。嫌というほどリアルです。不穏さは『新世界より』を想起させます。九州の片田舎で育った身として肩入れせずにはいられません。
主題は令和の「24年組」。作画はよしながふみや以前の吉田秋生のように余白に感情を込めるものです。

⑦小骨トモ『神様お願い』

 

 


作風には(とくに初期の)山本直樹の影響が見てとれます。ただし対象との距離が隔絶した山本作品とは異なり、いずれの短篇にも作者の強烈な私性や学校への呪詛がこめられています。粗削りですが、そこがいちばんの魅力。勝手ながら2022年の最優秀新人賞の表彰状を贈りたく思います。
後書きによれば、帯の推薦文は押見修造ゴトウユキコ(帯は電子データに含まれていないので、フィジカルで買えばよかったと後悔しました。購入される方はご注意くださいませ)。これらの作家のファンは必読です。

とよ田みのる『これ描いて死ね』
伊豆王島に暮らす高1女子が、憧れのマンガ家の久々の新作を求めて遥々コミティアに行くと、そこにいたのは何と!
フィクションではありますが、伊豆大島出身で藤子A(安孫子素雄)先生に私淑するマンガ大好きの作者が描く『まんが道』といった趣きのマンガ家マンガです。
キャラクターそれぞれに際立った個性があって言葉もキレキレ。キュートでユーモラスで何よりマンガへの愛情に溢れている素敵な作品です。引っ込み思案な性格の共同執筆者が厳格な母親にコミティア参加を直訴するマンガや、友人兼ライバルが主人公の作品を認めてくれる台詞には大いに涙腺を刺戟されました。

藤近小梅『隣のお姉さんが好き』

 

 


ジャンルは大別すればラブコメですが、本作が当初フォーカスしたのはお隣に住む3つ歳上、高2の映画好きのお姉さん・心愛に思いを寄せる中2男子・佑の報われぬ恋心。お姉さんと、その横顔を一方的に見つめる主人公との間に横たわる絶望的なまでの距離を、情報を統御しながら巧みに描き出していました。
その絶望的と思われた距離が、2巻で少しずつ近づいていきます。急速に成長し視野が広がっていく佑。少しずつ「めんどくささ」が爆発していく心愛。人物を描く解像度が異常に高くて感心させられます。
人物の内面が(語り手を兼務する主人公を除いて)モノローグで説明されることがないため、読者の読解力が試されますが、そこが本作の魅力。とくにめんどくさい性格のヒロインに生々しい存在感があって、どこか高橋留美子作品を想起させます。

⑩もぐこん『推しの肌が荒れた もぐこん作品集』

 

 


偶然の繋がりに支えられて次のステージに進む少女の物語が切なくも清々しい余韻を残します。作者の特徴は表面への拘り。アトピーの肌、痩せて肋の浮いた体といったざらつき、凹凸のあるテクスチャー(この並びに古い家を加えることも可能でしょう)をトーンを使わずペンの描き込みのみで表現します。
個人的な趣味の話をすると、本作のつげ義春「やなぎ屋主人」のオマージュにやられました。似たモチーフの「ゲンセンカン主人」と比べて評価も知名度も劣りますが、「やなぎ屋主人」の細密に描かれた女将の肉感的な身体に触発された作者の慧眼に拍手をおくり、固い握手を交わしたい気持ちです。